オリジナル盤って?

レコード豆知識

当店でも商品タグに記載している”Original(オリジナル)”。意味は、書籍で言うところの初版です。

レコードも本やCDと同じように、一度に何枚かずつ製造していきます。もちろん在庫が売り切れたら作り直すのですが、そのときに携わる人やコストは、初版のときと同じことは稀です。なので、ほぼ確実に音やジャケットが変わります。作る側もその時代や企業理念に合わせて販売するので、ジャケットやラベルのデザインは勿論、タイトルまで変わるなんてこともあります。

これは書籍でもそうですが、初版のときは誰でも気合を入れがちです。初めて世に出る作品な訳ですから、それはそれは各担当者全力です。こだわりの音質をエンジニアがレコードに刻み込み、プロデューサーが立ち会い、音質が気に入らず作り直しを命じることもあれば、ジャケットはより綺麗に見えるように上質なコーティング紙を使用、印刷も妥協なくぼやけたりしないよう高品質に作る、目立つように特殊な装丁を採用などなど。いろいろなケースがありますが、気合的にはこんな感じです。ラジオ局用のプロモーション盤は別テイクだったり、曲順が違うなんてこともあります。現在ではデジタルということもありますが、そこまでしないでしょう。レコードはよく売れたし、それだけつぎ込める(つぎ込む)理由があったんです。

つまり、アーティストやプロデューサーが世に届けたかった音・デザインに最も近い物、それがオリジナル盤(特にレコーディング会社がある国の初版)ということになります。とはいえ、全ての作品が強い意気込みで作られた訳ではありませんし、重版(リイシュー)の方が音が良いと言われるものもあります。ただ、オリジナル盤の多くが素晴らしい音質を持っているのも事実です。発売から70年経って盤面にはたくさんの傷がありノイズが多いオリジナルと、盤面の綺麗なリイシューとを聴き比べて、オリジナルをご購入いただくお客様は多いです。

そんな訳でオリジナルのレコードには根強い人気があり、値段が下がることもほとんどなく、高価だったりするんですね。勿論これらは録音がレコード時代の作品の話。CD時代の録音作品はCDに向いた音作りがされている筈で、レコード屋的にはちょっと特殊な存在です。

以上がオリジナル盤についての簡単な説明です。オリジナルを聞くと、CDと違いすぎて深い沼に入っていくことになる可能性大です。人気の作品は値段も高いし、まずはお気に入りのアーティストのオリジナルから試されてはいかがでしょうか。ご予算に合わせてこれはリイシューでいいな、というのも普通です。レコードが今でもリスニングされる大きな理由の1つ。プレイヤーをお持ちで、昔の音楽に興味がある方は、ぜひ試してみてください。